伊豆大島サイクリング

MARQUE2010-11-21


先週の九十九里浜サイクリングが思いのほか楽しかったので、今週も泊まりがけでサイクリングを挙行してきました。目的地は伊豆大島

大さん橋

伊豆大島へは東海汽船の船で行くわけですが、思いついたのが木曜日と遅かったのですでに金曜日の夜行船の切符は売り切れ。しょうがない、月曜日を有休にしちゃえ(笑)。ということで、土曜日の夜出発の夜行船に乗ることに。船は東京の竹芝桟橋から出ているんですが、週末に限り横浜の大さん橋へ寄港しています。そう、大さん橋って桟橋をモチーフとした観光施設じゃなくて、本当に使われてるんですよ!!(笑)。横浜市民の私は自宅から30分かけて大さん橋へやってきて、輪行袋に自転車を詰め込みました(実は初体験…)。出航が23:30だからか施設内は閑散。ここから乗ったお客さんは20人程度かな?。

大型客船かめりあ丸

乗った船は大型客船「かめりあ丸」。もちろん一番安い二等和室に乗り込みます。片道4,140円。輪行袋に入っていれば自転車持ち込みは無料で、そこらへんの手すりに適当にくくりつけておきます。雑魚寝の船に乗るなんて久しぶりなんですが、一人当たりの面積は思いのほか広くて下手な山小屋よりは全然マシかも。とはいえ、さっさとアルコールを摂取して寝たいところ。ビール(サッポロ黒ラベル)は500mlが310円、350mlが240円というのは良心的。おつまみもそんなに高くないので、事前にあまり買い込まなくてもいいかも。ただ、毛布が有料(100円)なのはちょっとなぁ(どこでもそうなの?)。
という、船での6時間の旅。午前0時にはデッキへの扉が閉められるので夜景を楽しむ暇もなく、船室は思いのほかエンジンの音がうるさく、波で結構揺れるし(悪天候の飛行機レベル)、結果としては全然寝られませんでした。

岡田港

伊豆大島に大型客船を受け入れる港は2つあって、当日の天候によってどちらかに決められます。比較的周辺がにぎわっている元町港と、ちょっとさびしげな岡田港。この日は岡田港でした。ちょうど夜明け頃の午前6時に到着。レンタカー会社と民宿の人がお出迎え。あ、ねこもいました。こんな早朝から休憩できるところもないので、さっさと輪行袋から自転車を取り出して組み立てます。付近では他にも3人ほど自転車の人がいたかな。ということで、伊豆大島一周サイクリング、スタート!!

大島一周道路

走るルートはほぼすべて「大島一周道路」です。大島をぐるっと一回りできます。走り出してすぐ気づくんですが、予想以上に坂が多い!!。一周する間に平坦な道がほとんどなかった感じ。海岸線よりちょっと内側を道が走っていることもあり、風景もずっと山の中。ただ、人や車にはほとんどすれ違わないので走りやすい。車も軽自動車ばかりですし。早朝から黙々と坂を登り続けます。

月の砂漠ライン

三原山の東部には「裏砂漠」と呼ばれる荒涼とした風景が広がっていて、そこへ寄ってみることにしました。ここに至る道も結構な坂なんですけどね(苦笑)。火山噴出物で一面が真っ黒。天候があまりよくないのもあいまって、不思議な雰囲気です。

波浮港

次は島の南東部に位置する漁港、波浮港。大島一周道路が一部通行止めになっていたりしたので途中で地図を開いていると、地元の方が声をかけてくれました。よく聞くとウルトラマラソンの大会事務局長の方だそうで、しっかり勧誘されました(笑)。あと、波浮には「鉄砲台」というのがありました。このあたりは地元のNPOの方々が最近整備した観光地だそうで、こういった努力は徐々に報われるんじゃないかなと思いました。

地層切断面

さてさて、そこから西に向かって島の南西部にあるのが見事な「地層切断面」です。黒い部分が噴火による堆積物で、これによって過去どの時期に噴火があったかが分かるそう。写真では見たことあったんですが、実物は数百メートルにわたって続いていて、予想以上の迫力。そして、この反対側は利島などの伊豆諸島が見えて、これまた見事な景色。個人的には伊豆大島の一番のビュースポットでした。おすすめです。

火山博物館

そこから北上すると、今度は妙に立派な建物が見えてきます。「伊豆大島火山博物館」。中身はまぁ、よくある博物館ですね。最近はあまり内容がアップデートされていないようで、正直微妙です。特に「シュミレータカプセル」が酷い。おそらく1990年代前半に作られたであろうCGは当時としては最先端だったんでしょうけど(制作は当時CGで名をはせた「リンクス」)、とにかく内容がない!!。銀河万丈のナレーションもなんとなく投げやりな感じでした。
しかし、面白いものが外にありました。「讀賣」と書かれたゴンドラ。何だと思います?。戦前、三原山の火口は「自殺の名所」として知られていたそうです。というのも、当時は火口がすんごく深かったらしいんですね(今はそうでもない)。それに目を付けた読売新聞が特製のゴンドラを火口内部に降ろして調査したんだそうです。「こんなゴンドラで大丈夫か?」と聞きたくもなりますが、野次馬根性か科学的興味か探検心のなせるわざ。どのような結果が得られたのかは資料がないので分からないんですが、伊豆大島ブームのきっかけともなったそうです。

元町港

火山博物館からちょっと走ればすぐ元町港です。多少にぎやかではありますが、でも閉まっているお店が目立ちます。伊豆大島は食事どころがあまりなく、一番多いのが元町港。ということで、初日の昼食は「南島館」の「島定食」2,200円也。刺身と貝類その他でボリュームもあるしおいしいんだけど、ちょっと高いかも。別にこの店だけが特別高いわけじゃなくて、どのお店もちゃんとしたものを食べようとすると2,000円くらいします。あ、明日葉茶は甘い香りがいい感じでした。

三原山

さて、伊豆大島一周はここまで。ここからは三原山へ登ります。三原山登山口まで自転車で行けるルートは2つあって、三原山登山道路と御神火スカイライン。後者は平均斜度10%ときつい坂らしいので、よく訓練された自転車乗りの私は迷わずこちらを選択(笑)。これがまぁ、全く休めるところのない坂道で、インナーローでのろのろ進みます。ただ、ずっと同じような斜度なので、激坂といった感じではないのが救い。
そして三原山の登山口に到着。シーズンオフだからか、人影はほとんどなし。ここから先へは自転車では行けないので、適当に自転車を置いて、トレランシューズに履き替えてGo。登山口は三原山の外輪山にあって、そこから舗装路で火口まで行けます。が、舗装路とあなどるなかれ。終盤には斜度15%もあろうかという道が待っています。30分ほどかけて火口に着いたーと思ったら、残念なことに天気が悪化。まわりは真っ白。雨もざーざーと。お鉢めぐりもしましたが、苦行でしかありませんでした…。

民宿

三原山からの帰りは、三原山登山道路を時速60kmにもせまろうかというスピードでダウンヒル。途中でビールとおつまみを補充して、岡田港近くの民宿「朝海館」で一泊。8,400円。民宿に泊まるのもこれまた久しぶり。部屋にバス・トイレがないのは特に気になりませんでしたが、鍵がないのはちょっと気になりました(ま、アラフォー男子には何の危険もありませんが(笑))。料理も特別豪華というわけではないですが、おいしゅうございました。

三原山(1日ぶり2回目)

次の日の朝。天気予報ではあまりよろしくない感じだったんですが、朝のうちは青空も見えていたので、リベンジとして急いで三原山へ再アタック。今度は三原山登山道路を登ります。平均斜度は6%くらい?。点滴のように落ち続ける汗をぬぐいながら、50分ほどで到着。ありがたいことに視界は100%。今度は火口から何からすっきり見えました。
帰り際、どこかで見た家族連れがいるなーと思ったら、同じ民宿に泊まった家族で、なんとなくごあいさつ。車の中からお子さんに「がんばれー」と応援されて、パワーアップして下山。

帰り道

あとは14:30の船に乗って帰るだけ。昼食は元町港「かあちゃん」の刺身定食1,570円。海沿いの道を走って大島空港近くの「ぶらっとハウス」(地元の農産物直売所)でソフトクリーム250円…を補給したところで手持ち現金がゼロに!!。クレジットカードもEdyも使えないところなので、現金の持ち合わせは多めにどうぞ。あとはもくもくと自転車をこぐ。
岡田港へは結構早めに到着。でも、現金がないのでお土産も買えず、猫にごあいさつしてからさっさと船へ乗り込みます。あ、そうそう、自転車を輪行袋に入れるのは船の近くへ行ってからのほうがいいです。ターミナルからそこそこ歩くので。船の中では式根島で自転車に乗ってきたという二人組と話をしたり、東京湾の夜景を楽しんだり。
伊豆大島への船は週末以外は横浜へは寄港しないので、到着は竹芝。そこから自走で帰ることになるんですが、雨でした…。

昭和の観光地

というわけで、自転車で伊豆大島をひととおり楽しんできました。全体的に感じるのは、昭和の観光地だなぁということ。正直なところ「島」であること以外の魅力が少ないです。火山のダイナミックさを味わいたいなら浅間山鬼押出しとか白根山の湯釜とか立山の地獄谷のほうがキャッチーだし、新鮮な魚介類は他にも港はたくさんあります。各種施設も1986年の噴火後の復興でアップデートが止まっている感じ。私は一泊二日で行きましたが、船のタイミングが合えば一日で回れる規模。
でも、逆に言うとこの「昭和感」を楽しめたり、自分で面白いスポットを探す旅ができる人であれば来る価値はあります。まぁ、自転車野郎は自転車に乗れさえすればどこでも楽しめるんですが(笑)。

今回の自転車での総走行距離は130km、徒歩(登山)で12km。満足。