新・UFO入門

UFO存在は未確認 政府が答弁書「宇宙人への対応検討せず」
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/071218/plc0712181222010-n1.htm

というニュースがちょっと話題になりましたが、つい先日

という本をたまたま購入してまして、この質問をした民主党の山根隆治氏についての記述もあったので、なかなか楽しく読ませていただきました。…こういう話をすると「最近のMARQUEは大丈夫か?」と思われそうですが、著者が唐沢俊一というあたりでなんとなく魅かれた理由が分かっていただけるのではないかと思います。

UFOというと、私が小さい頃(1970〜1980年代)には年に何回かは矢追純一によるUFO特番が放送され、いつまでたっても真相に近づかないことにイライラしつつも、やってくる宇宙人に思いをはせていたものです。…まぁ、どちらかというと懐疑派ではありましたが、それでも「遠くない将来にUFOは必ず現れるだろう」という漠然とした思いはあったような気がします。

それから数十年。いっこうにUFOは現れず、かつてのムーブメントは完全に過去のものとなりました。それも当然のことで、客観的に信じられる物証が全くない以上、UFOは存在しないというのと同義なわけです。しかし、不思議なことに、日本やアメリカでは話題にならなくなったものの、イギリスやブラジルなどでは今でもUFOの目撃談が絶えないそうです。

もちろんこれはUFOが日本ではなくブラジルに着陸するようになったというわけではなく、日本人が「UFOを必要としなくなった」からではないか、というのがこの本の主張です。以下、要約とも言える部分があったので引用。

UFOを(否定的に)語る人々には強者が多い。強者とは、自己アイデンティティを自己そのものの中で完結できる人々である。彼らの多くは弱者の心を理解できない。そして、世の中の大半の構成員は弱者である。社会とのアツレキの中で自分というものの存在がどんどん外へ流れ出し、消えて行きかけたとき、人は悲鳴をあげる。そして、空をあおいだとき、そこに人はUFOを見る、のである。

そう、UFOとは「見える」ものではなく「見る」ものだったんですよ!!。ではなぜUFOを見るかという話なんですが、それが当時の宇宙人観に現れています。たいてい宇宙人というのは、

  • 地球人よりはるかに進んだ文明を持つ
  • 地球の危機を知らせるためにやってきた

という感じでした。…今考えると、なぜわざわざこんな文明の遅れた小さな星のローカルな問題に口を出してくるのか?と思います(笑)。社会が複雑になっていろんなことが起こり、個人の力ではどうしようもできなくなってしまった。この世の中の問題を一気に解決してくれる存在はいないか?と思ったときに空を見上げると「UFO(宇宙人)」がいた、というわけです。

確かに、世の中の仕組みをひっくりかえす役割としてUFOや宇宙人を見ていたような気がします。明日から突然いろんなものが変わってしまって、今までのしがらみから一気に解き放たれるような。例えば小学生にとってはそれが「勉強」だったりしたんじゃないかなと。

じゃあ今の日本人は強くなったのかと言うとそうとは思えないわけで、ここらへんは「UFO」という部分を「カルト宗教」とか「スピリチュアルカウンセラー」に置き換えても成立するのではないでしょうか。ただ単に、UFOの現実性が下がってしまって、人々の関心から外れたというだけで。そう考えると、ちょっと怖い気もします。

実際に日本のUFO関連団体(なんじゃそりゃ)にはカルト宗教化してしまったものもあって、一部の新聞紙上を賑わせたこともあったそうです。その他、「科学派」と「コンタクト派」の対立とか、星新一などの著名人もかかわっていたということとか、UFOをめぐる人々の動きというのがこの本で語られています。

この本はとあるサイトから一部を無断引用したということが話題になってしまって(最新版ではお詫びの文が掲載されています)、内容自体の評価があまりされていないのが残念なところです。しかし、いわゆる超常現象などを語る際に不可欠な新しい視点をもたらしてくれるような気がします。おすすめ。

で、最初の山根隆治氏の話なんですが、実は2005年に初めて国会でUFOについて発言したということで微妙に話題になった人らしいです。当時の議事録がこちら。
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/162/0002/16203100002004c.html
意外と話がかみあってるのは、当時の国務大臣麻生太郎氏ならではといったところでしょうか。

さらに面白いのが、その答弁の中に、

ちょっと守屋の顔からもなかなか想像できないなと思わないでもありませんけれども

というのがあって、この「守屋」というのはあの防衛庁事務次官のことです。確かに、あの顔からUFOの話題が出るとは想像つかないですね(笑)。